―――親父を倒すしかない


息が止まる。

俺にありとあらゆる武術、護身術を叩き込んだ親父が相手だ。

膝に置いた握りこぶしに力が入った。


「奏がわしを倒すことができたらその時は認めてやる」

「………」



すっ。


庭の方を向き座禅を組んでいた親父が音もなく立ち上がった。

「………」

その背中を見て立ち上がる。



振り向いた親父と一瞬見つめ合い、無言の会話を交わす。



「奏、庭に出ろ」


響く声で命令した親父の前に立ち、スーツの上着を脱いでりおに渡した。



「りお、行ってくる」

「……奏さん」


見上げるりおの戸惑う瞳にに笑いかけた。





「大丈夫だ!俺は負けたりしない」