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「キレハー、メル姉が帰ってくるの遅いからさ、迎えに行ってくれる?」
『分かりました』

私はいつものように頼まれた事をこなしていた。

そして、メルさんの帰りが遅いのはよくある事なので、私もさして気にしなかった。










『メルさーん、皆さんが心配し「いやぁぁぁぁ!!」

突如、森の中から聞こえる悲鳴。

その悲鳴の主を、私は知っている。





私は駆けた。

心配だからじゃない。

ただ、何かあったら私にまで迷惑がくる。
それが嫌なだけだ。




『っはあ…っ…メルさん』




だから、赤い水溜りの中にいるメルさんに心配なんてしていないし、その横にいる兵士に怒りなんて感じていない。




「はっ!!お前もこの“屑”の仲間か」



貶されても、別に気にならない。



「なんだこいつ?瞬きすらしねーし、気持ちわりー。……ま、いーか。俺は村に火を付ける奴らと合流するか」




――邪魔者は、排除せよ――




ただ、それだけなんだ。












赤い水溜りが一つ増えた後、私は村へ駆けた。


……村は燃えていて、ミルさん達の姿を探すと、ルルさんだけが倒れていた。