言葉を選ぶようにして話し出した。

「患者さんの状態というか、どういう患者なのかという説明する隠語というか、通り言葉ね。……病院内で通じるというか」ボリュームと滑舌クオリティがみるみると落ちていく。

「松波さんから見ても私はピーカンなんでしょうか?」

ピーカンの意味はわからない。どうせろくでもないことなんだろう。

「木下さんは、」

松波さんの言葉が詰まる。

「今日の手術できっとよくなると思いますよ」


そのあとお互いに言葉はなく、暗い空気に包まれたまま2人で病室へと戻った。