朝の検温を終えると、病室のドアが勢いよく開いた。
「・・・リカ」
「美月。」
美月の目には、心配そうに涙が揺れていた。
「美月、ごめんね。心配かけて・・・」
美月は、ゆっくりと私に近づき、ベッドの横のイスに腰をかけた。
「歩太は・・・元気?」
私の質問に、美月は静かに頷いた。
「良かった。」
美月は、私の大きくなったお腹を見ながら、口を開いた。
「私、気付いてたよ。リカが妊娠してる事」
えっ!?
私は顔を上げ、美月の目をまっすぐに見た。
「でも、リカが言ってくれるの待ってた。
リカが幸せそうに笑って、『美月!私、赤ちゃん出来たよ!歩太の子だよっ!』って、教えてくれるの待ってた。
それなのに・・・」
ごめんね。信じてくれてたのに・・・
私は何も言わずに、消えちゃったんだよね・・・。
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