「俺が無理なのに、お前がいける訳ねぇだろ、このアホ!!」

バシッと彼の頭を武蔵くんが叩くと

「冗談に決まってんじゃん」

ギャハハと、みんなが笑いに包まれた

「じゃ、俺いったん抜けるわ」

「おう、次数学であの先生だから、早く戻って来いよ」

「任せろ」

そう言って武蔵くんは、グループから抜けて私達を廊下の端へと導いた

「うっさくて、ごめんな」

私の顔を申し訳なさそうに見る、武蔵くん

「ううん、良い子達だね」

「まぁな」

「いきなり優美を口説いてて、私はびっくりしたよ」

「それは俺もだし!!
つか、朝大丈夫だった!?
急いで翔呼びに行ったんだけど、間に合った??」

「うん、大丈夫だよ
ありがとう、武蔵くんのおかげでホント助かった」

その言葉で安心したように、彼は胸を撫で下ろした

「それがね、りりかったら主犯格の子と仲良くなって、メアド交換までしたのよ!!」

「えぇ!?マジで!?」

「たまたまだよ」

「誰と仲良くなったの??」

「清水くんの元カノの杏(アン)と、麻衣(マイ)」

麻衣とは、あの私を叩いた子

メアドを交換したときに、“さん付け”なのを全拒否されて、呼び捨てでするようにと言われた

なんだかギャルを呼び捨てなのに、違和感があるけど、慣れるまでの辛抱だ

「うひょー、あの取っつきにくいギャルとよくメアド交換出来たなぁ
マジ、尊敬するわ」

まぁ、今思えば、脅しっぽかったんだけどね…