「どうしたの??
しんどいの??」


彼の額に手を当てて体温を確認するが、熱は無く私と同じくらいの体温


「……朝っぱらから女がうるせぇ」


ちょうど群がっていた女子が翔くんで見えないので、少し体を傾けてチラリと目をやると、じーっとこちらを見ながら隣にいる女子と話している



「モテる男も大変だねー」


と呑気な事を優美は言うが、彼女も彼女で“モテる女"である


「頑張って翔くん、少しの辛抱だろうから
…そうだっ!!
今日の夕飯は翔くんのリクエストの物にしよう!!」


疲労感満載の雰囲気に包まれている、彼を励ますつもりでふわふわの黒髪を撫でると、気持ちよさそうに目を細めた


「……頑張る」


「うん…じゃあ行くね」


可哀想な彼を一人残していくのは、後ろ髪を引かれる思いだったが、優美が武蔵くんに連絡を入れて助けるように言ってくれて、心配はいらなさそうになった



「肉食系女子のイケメンに対する戦闘能力って侮れないね」



「まぁね…」


寄りを戻す前は翔くんを見ないように意識していたが、あれほど群がられてはいなかった記憶があったのだが…


同じ性別だが、私には理解し難いものがあの女子達にはあった