私が気付けなかった、父の優しさ


いや、気づこうともしなかった


いつも自分の固定概念でしか父を見ようとせず、“父は私を心底嫌っている”という考えが常に自分を付きまとい、客観的に父を見れなかった


思い返せば、父の優しさはちゃんあった


毎年の私の誕生日には、大きな一人では食べきれない程のケーキに、これまた大きな花束


クリスマスには、ケーキとマフラーや帽子といった、防寒着や、洋服、時にはクリスマスツリー


毎年毎年、父からの名義で送られてた


だけど私は、それを素直には受けとれずに、父親なのだから当たり前だと勘違いをしていた


それらは全て、当たり前なんかではないということを、今気づかされた


自分はなんて愚かで、情けないのだろうか…


そう思うと自然と涙が出てきて、人前にも関わらず、私は声を上げて号泣した


蓄積された父への思いは、そう簡単には崩れることはないかもしれないけれど、ちゃんと向き合おうと思った


もう、父から逃げないと決めた

だって、唯一の親だから──