黙々と春樹が作ってくれたお粥を食べているのだが、春樹の表情はまだ堅いまま…


本当に、どうしたのだろうか


「春樹??
お腹減ったの??」


「えっ??
ううん、さっき食べたよ」


「そう…」


体調が悪い訳ではないらしいし、空腹と言うわけでもない


何故、春樹に元気がないのか気になるが、どうもこの体調不良のお蔭で体がきつく、食べるので精一杯


お粥を食べ終えて差し出された薬を飲み、私がベッドに横たわると、春樹が私の頬を優しい手つきで撫でた


「な、何??」


予想外の行動に、私の顔は熱とは別のもので赤くなる


「……りりか…俺から離れていかないでね」


真剣な眼差しで見つめてくる春樹の表情は、何故か苦しそうである


──もしかして、翔くんとの事がバレたの…??


一瞬、その事が頭に過ったが、個人情報がそんなに容易く手に入る訳がないだろう、と馬鹿な私はそう考えついた


「ずっと、俺の傍にいてほしいんだ」


真っ直ぐな彼の気持ちに対し、春樹に想いがない私は答えられない


春樹を弄かの風になってしまっているこの現状を、打開したいにも仕様がない


いつだって、父の命令は絶対なのだ…


それに、あの時の約束を守り続けてもらわなければ、私が今、こうなっている事が無意味になってしまう


私が一人が傷つくなら未だしも、他の人を巻き込む事はしたくない


私は彼に顔を背けて何も答えず、頷きもせず、狸寝入りをして、春樹の気持ちを見てみぬふりをした