「でもご飯食べたら良くなるよ、きっと」


にこりと安心して欲しくて微笑むのだが、春樹は苦笑して伏し目がちになった


「……りりか、気付かなかってごめん」


「え…??
どうして謝るの??
春樹は何も悪いことしてないでしょう??」


「そうだけど…無理させてしまった…」


「ふふっ、そんな事で謝らないでよ
春樹のせいでも何でも無いんだから
…ねぇ、このお粥って春樹が作ったの??」


「爽に教わって、ね…
いちおう味見はしたんだけど」


と、かなり自信無さげなのだが、一口食べてみた感想は“美味しい”だ


“手作り料理”で、数ヶ月前に翔くんが作ってくれたチャーハンの事を思いだした


それだけで心が満たされて、私の頬が自然と緩む


「喜んでもらえてよかった」


「ありがとう、春樹」


比べるのもなんだが、春樹の方がやはり器用でなかなか筋がいい


だけど不器用な翔くんが、私の為に頑張って手料理を作ってくれていたのかと思うと、別れた今でも愛しい気持ちになる


結局のところ私の心は、まだまだ翔くんに占められていて、未練があるといっているようなものだ