「ねぇ、もうちょっとこのままがいい」

ギュッと抱きつく、私

いつもはしないような事をする私を、翔くんが一瞬、不思議がるのがわかったが

「今日のりりかは、大胆だなー」

と、ギュッと抱き締めてくれた

翔くんからは、翔くんの匂いがして安心する

んー、とそれを一生分吸い込んだ
…だって、これで最後だから

「……翔くん、大好きだよ」

嘘偽りのない、私の気持ち

この気持ちを、私はこれから“嘘”で固めていくのだ

出来るかな、そんなこと…

「なっ…!!
急にびっくりすんだろっ」

「ふふっ、ごめんね」

「…今日…何か変じゃね??」

「素直に生きるって、昨日ね、お母さんのお墓参りの時に約束してきたの」

……ううん、ホントは逆なの

それを悟られないように、満面の笑みで隠す

「…そうか」

「うん!!」

微笑んだ私を、翔くんはギュッと、また抱き締めてくれた

本当に本当に、これで最後なんて、考えたく
ない…

誰か…悪い夢だと、私を叩き起こして…