「ただいま」

何も無かったかのように、私はリビングに入った

誰にも、さっきあった出来事は話さない

それが翔くんであってもだ…

私達の親子の問題に皆を巻き込みたくない、とずっと思っていたからだ

「おかえり
ちゃんとお母さんと話して来れたか??」

「…うん、ありがとう
夕飯、急いで作るね」

こんな楽しい会話も明日で終わりかと思うと、今にも涙が溢れ出しそうだ

今思えば、ここ数ヶ月が幸せすぎた

私は不幸に生きなければいけない人間だというのに、幸せを掴んだから罰が当たったのだ

「ねぇ、翔くん」

「ん??」

私を後ろから抱き締めている彼に問いかける

「明日、学校サボらない??」

「……何だよ
んなこと言うなんて、らしくねぇじゃん」

「えー、そんな事ないよ~
たまには私も、悪になりたいだけ」

「…ま、いいけどよ…」

「やったー♪
明日は一日中、一緒に居ようね」

振り返って、彼に微笑みかけた

明日で最後なんだよ、一緒に過ごせるの…

だから、一日くらい学校サボってもいいよね、お母さん??