──ガチャ

「ただいま~」

「お、お邪魔します…!!」

すると、家の中から若い女性が駆け寄って来たかと思うと、

「ほわぁ…!!」

私をギューッと力いっぱい抱きしめてきた

「貴方がりりかちゃんね?!
キャー、会えてホント感激よ!!
可愛らしいわ~!!
ホント、男より、やっぱ女の子よね!!」

「え、と…あの…」

大混乱する私の頭の中

すると、隣で大きな溜め息を付いた翔くんが

「いい加減にしろよ」

と怒るように言った

「あら、そんな怒らなくてもいいじゃないの
ホント怖い息子よね」

そう言って、ゆっくりと私を離した

え…“息子”…??

「ねぇ、翔くん…」

ツンと彼の袖を引っ張り

「…もしかして…お母さん…??」

信じられない、という表情いっぱいに聞くと、当たり前の様に首を縦に振った

「え、嘘…
綺麗すぎる、でしょ…」

まだ三十路前にしか見えないし、しかも既婚者なんてわからない

私のお母さんとは、失礼だけど、天と地の差があるよ…

「あら、嘘、やっだ~!!
そんな事言われたの、久しぶりよ!!
もうすんごい嬉しい!!」

バシバシと翔くんの腕を叩く、お母さん

すごい明るい人だな、と私には好印象だ

「っ、いってぇよ!!
お世話だって気づけよっ」

え、そんな事ない!!

ブンブンと首を振ると、あら嬉しいわ、と優しく頭を撫でられる