「おい、千穂?…着いた」
どれくらい寝てしまってたのかも分からない時間。
そのタクの声で薄らと目を開ける。窓にもたれ掛かって見える先は千穂の家。
もー帰って来たんだって言う少しの安心感であたしはもう一度目を閉じた。
「おいっ、千穂。着いたぞ」
今度は晃くんの声。
その声に反応した千穂は、「…うん?」と寝むそうな声を出した。
「着いた」
「あー…うん」
ガサガサと隣で物音がする。
千穂が帰る準備をしてるのか座ってるシートが少し揺れる。
「…じゃあね」
「おぅ」
「音羽…。あー、寝てんのか。じゃあいいや。、拓斗、晃バイバイ」
「またな」
スライドドアがガラッと開く。
千穂が降りてすぐ進みだした車。
千穂じゃないけど、あたし…相当に疲れてんのかも知れない。
なんか…頭が痛い。



