「えー、何これ。気味悪い」
少し前を歩いていた千穂の声があたしの耳を掠めた。
その言葉にドクンと心臓が高鳴る。
そしてその直後、
「いやっ、!!」
思わずあたしは声を張り上げた。
角を曲がった廊下の先。
そこに敷き詰められていたのは数えきれないくらいの色とりどりの
…織り鶴だった。
「何やねん、これ」
そう呟いたタクの腕をさっきよりも強く握りしめる。
ゆっくりと歩いて行くタクにしがみ付く様にあたしは身体をタクに寄せてた。
なんの為なんだろう。何の為にここに織り鶴が敷き詰められているのか分からない。
…気持ち悪い。
…気持ち悪い。
あまりの気持ち悪さにさっきまで握り絞めていた耳をゆっくり離す。
そして、思った。
気の所為だったんだろうか。
何もないその幻聴にホットし、フーっと息を吐いた時だった。
「きゃっ!!」
背中を強く押されるその感覚に身体が前にのめり込み左手を柱に付いた。



