「よし、誰から行く?お前から行けや」
「何であたしなんよっ、」
「今度なんか奢ってやるから」
「奢ってくれんくてもいいわ!アンタが先に行きなよ!!」
「何で俺やねん!」
「アンタ男やろ」
「そんなん関係ないわ」
「そもそも何であたしまでここに来たんか分からんわ!!」
「探検やんけ」
「じゃあ、先に行けってば!!」
次々に繰り広げられる先輩同士の声が辺りに反響する。
時々後ろの道路を走って行く車のヘッドライトさえも何故か怖く感じてしまった。
キャッキャッ騒ぐ先輩達。あたしを入れて9人。そう考えると大丈夫かもって思えるかも…知れない。
「音羽、拓斗と行き」
「えっ!?何で!?」
千穂がそう言った後、あたしは思わず声を上げる。
「だって女同士よりいいやろ。あたしも怖くなってきたもん。だから晃の腕掴んで行くわ」
「えー…」
不満げに呟くと、
「俺じゃ不満かよ」
タクのトゲのある声が返って来た。



