「なー、あそこに地蔵があるんやけどなんやと思う?」
「ちょ、変な事言わんとって」
タクがそう言った後、あたしはそう言ってタクの背中を叩いた。
「だって、出入り口にあるやん。なんの為やろ…」
「やめてよ」
そう小さく呟いたあたしはギュっとタクの腕を掴んだ。
「本間や、あるわ。何で旅館にあんの?つか、なんか怖くなってきたわ」
千穂がそう言ってそっと自分の腕を擦った。
「多分あれ亡くなった人の地蔵やろ」
「亡くなった人?」
先輩がそう言った後、千穂は小さく呟いた。
「この先にトンネルあるやん?あの出入り口なめっちゃ急カーブやねん。で、スピード出し過ぎで回れんくて、その崖から落ちて亡くなった人が結構おるらしい」
「え、うそ…」
「だからそれにまつわる地蔵やろ」
こわっ…
辺り一面暗くなってから聞くこの話は結構怖い。
真夏の空気は暑いはずなのに何故かあたしの身体は冷えきってた。



