「あー、めっちゃ涼しー」
心地よさの風に千穂は高鳴った声を上げる。
店内から入った一番奥の席にはそそくさと入って行ったタクがメニューを眺めてた。
四人掛けの席の奥に座ったあたしの隣に千穂が座る。
「何がいい?」
「何でも」
そう聞いたタクにあたしは答える。
そして目の前のタクはすぐに手を上げ店員を呼んだ。
「俺、豚でええわ」
晃くんがそう言った後、タクがすぐに口を開く。
「えーっと、ミックス2つと豚2つと、モダン1つと焼きそばひとつ―――」
「えっ、ちょっと待って。あたしあんまいらんで」
遮って入ってきたのは千穂の声。
「音羽、食べれるん?」
続けて聞こえた千穂の声にあたしは素早く首を振った。
「一枚食べれるか分からん」
「ほら、音羽も言ってるやん」
「いらんかったら晃が食うやろ」
タクはメニュー片手に隣の晃くんを見た。
「晃、食べれんの?」
千穂が不安そうに聞くと晃くんは、「余裕」そう言って軽く頷いた。



