天使の瞳


目の前に歩くタクの手にはあたしとタクのビーチサンダル。

時折、タクに向かってる女の視線が気になってるのは気の所為だろうか。


「うわっ、すげぇ人」

「なんか、汚いし」


行列が出来て並んでる先に見えるのはシャワー室。

6つくらいあるけど、そこはシャワー室と言えるような場所じゃなかった。

レースカーテンで覆っているけど、湿った木の床が汚い。


洗うのにも綺麗に洗えてるか分からないようなシャワールーム。


こう言う所、ムリ。


「あっち、行くか?」


顰めたまま見つめているとタクが遠くの方を指さす。


「あっちって、ホテル?」

「そうそう。春に出来たんやて。温泉もあるし行けるらしい」

「じゃあ、そっちがいい」

「オッケ」


辿り着いた場所は凄い綺麗なホテルだった。

海に入っていた人達が来ているのか、凄い人達で溢れかえっている。


「こっちも凄いね」

「まぁな。けど、あっちよりマシやろ」

「うん」


ホテルはホテルでも海専用の温泉があるみたいで、大概の人達はそっちに足を運んでた。