「もー、限界っ、」
どれくらい海に浸っていたのかも分かんない時だった。
ジリジリと焼けてくる肌に限界を感じてしまった。
日焼け止めなんてとっくに洗い流されてるに違いない。
暑さの所為で頭もフラフラする。
浮き輪を抱えて砂浜を歩く。その足にへばり付くようにくっ付いてくる砂に気持ち悪くなる。
パラソルの下まで来ると、あたしは身をシートに預けた。
鞄の上に置いていたサングラスを掛け、馬鹿みたいに騒いでいる3人をボーっと見つめながら目を閉じた。
「おい、そんな恰好で寝んなや」
不意に聞こえた声に目を開けると、サングラスの薄茶色から見えたのはタクだった。
「あー、どうしたん?」
「どうしたんと違うやろ。そんなエロイ恰好で寝るな」
「エロイって言うな」
「服着ろ、服を」
「だってベタベタするんやもん」
顔を顰めたあたしはベタベタとする肌を擦った。
塩を含んだ水が自棄に気持ち悪い。
「シャワー浴びに行くか?」
「だってまだ遊ぶんやろ?」
「別に俺はいいで。アイツら楽しんでるし」
そう言ったタクの視線は二人ふざけながら遊んでいる千穂と晃くんが居た。
「タクは?」
「俺は、もういい。だから行こ」
「うん」
あたしとタクは鞄の中からタオルと服を取り出して、それを袋に詰め込んだ。



