「なー、さっきの拓斗の言葉どー言う意味なんやろな」
「何が?」
「彼氏役って意味」
「そのまんまやろ」
「いや、あれはなんか違うよな。思うんやけどさ、拓斗って音羽の事スキやんな?」
「はぁ!?」
これでそう声を上げたのは何回目だろう。
目を見開いたあたしに対して千穂はジッと遠くに居るタクを見つめた。
「なんかそー言う空気だしてるやん」
「なんか千穂、すごい妄想やね。あんだけあたしの事めちゃめちゃ言ってんのにそれは無いやろ」
「いや、なんかこ―言う予感って当たるねんなぁー…」
「もう、変な予感せんといて」
フイッっと顔を背けたあたしは浮き輪を被り腰で支える。
ザブッと勢いよく打ち付けてくる波に身を任せた。
浮き輪に支えてもらった身体に身を預け、あたしは真っ青な空を見上げて目を瞑った。
タクがあたしを?いやいや、冗談じゃあるまいし。
それはありえない。
でも、タクの事をいつも気にしてるあたしってなんなんやろ。
好きって事?いやいや、まさかね。
ありえへん。



