「元気か?」
「あ、うん…」
「一人?…じゃねーよな」
「うん…」
「なんか何もねぇままお前と終わってな、ぶっちゃけ気になってたから」
「あー…うん…」
「音羽な、今男おるん?」
「え?」
突然言われた言葉に思わず詰まる。
まさかそんな事を聞かれるなんて思ってもみないし返す言葉も考えてない。
でも、今はそー言うのめんどくさいかも…
「なぁ、音羽?こんな所で言うんもアレやけど、もう一回やり直さん?」
「え、ごめん…ちょっと、今は分からん」
「せやんな。まぁ…俺、番号そのままやし、また電話して。番号分かる?」
「あ、うん」
あのまま消してもないから、そのまま入ってるはず。
だけど、携帯は今ではちょっと触れるのに抵抗がある。
「音羽も変わってない?」
「うん」
「んじゃあ、また掛ける」
とりあえずコクンと頷いたあたしに元彼は軽く手を上げてあたしに背を向けた。
あれはあたしが高1だった時、二個上の先輩と付き合ってた。
でも先輩が卒業してからだんだんとすれ違い、連絡が疎かになり、いつの間にかそのまま縁を切っていた。
だからあたしは、そんなもんだったんだと思い何も気にする事はなかった。
まさか、もう一度やり直そうなんて…
思いもしなかった。



