「何で?」
「色白いから黒似合うけど、ある意味なんかエロイ」
「エロイとか言うな」
「つか、全然太ってへんやん。モデルさんみたーい」
そう言って千穂は微笑んだ。
って、言うか。ほんまこの人混み嫌。去年も一昨年も千穂に連れられて来てるけど、ほんと毎年多いよなー…
この人混みにやられそう。
「ねぇ、二人なん?俺らと遊ばへん?」
不意に聞こえた声に視線を向けると、あたし達と同じ年代だろうか。二人の男が目に入った。
あぁ、ナンパか。
興味、ないや。
「いや、二人じゃないんで」
うん、晃くんもタクも居るから一応二人じゃない。
だから思った通りの言葉をあたしは返した。
「ふーん…でもいいやん」
何がいいいの?分からん。
返すのも面倒になったあたしの前にヒョイと千穂が現われた。
「あー、ごめん。彼氏と一緒やねん」
はぁ!?思わず心の中で叫んでしまった。
彼氏って誰?
目を見開くあたしに千穂はそっと微笑む。
目をパチクリするあたしに、「だからゴメン」そう言った千穂の声が届く。
「あー、そうなんや」
つまらさそうにそう言った男達はまた違う誰かを見つけに行こうと言わんばかりに素っ気なく立ち去った。



