隆史は智の言葉に考え込む。
「でもこんな夜遅くに吉野さんを…」
『あのさ、先生!会長たち、ある意味とんでもないことになってんの!先生、私の家わかんないっしょ!?今から探すの!?時間かかるっての!外も暗いのに。そんなことで、地震カミナリ火事オヤジの時に、どう対応すんの!?逃げ遅れたいの!?』
「う、うん。こんな時間に由貴くんたちがいない時点でとんでもないのはよくわかるんだけど…」
『ああ、先生、話している時間もったいねーわ。先生、双葉高校行きのバスが通っている道わかる?十字路。銀行とコンビニと花屋があるとこ。私、そこのコンビニにいとくわ。由貴くんたち心配ならそこに来て。じゃ』
「ああ、吉野さん、待って!早瀬のところの内線と携帯番号!」
いざという時の吉野智の行動は速い。隆史は慌てて電話番号を教えた。
早瀬も連れて行った方がいいかもしれない。店の方には、今から早瀬に会いに行くからとだけ伝える。
普段あまり使わない携帯を持つと、隆史は家を出た。
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