『尾形晴』の情報を掴むべく不思議電波塔経由で時空を移動しようとしていたシェネアムーンは苦戦を強いられていた。
時空間をおびただしい隕石のようなものが滑空しているため危険なのである。
それも、ただ滑空しているように見えて、実は何処かを目指しているという感。
(あり得ないわ、こんなこと)
シェネアムーンはシェネアムーンで見事な身のこなしで隕石を避けてゆく。
隕石の行方が気になったが、時空間でその調査をするほど命知らずでもない。
時の変化に、命あるものは弱い。ほんの少しズレただけで亡きものになってしまうこともよくあるのだ。
無事に時空間を抜けきり、不思議電波塔の近くにふわりと降り立つ。
急がなければ──。
息をついたのも束の間、シェネアムーンが走り出そうとすると、呑気な声がシェネアムーンを呼んだ。
「あれー、お姉さん、何処に行くのかなー?」
シェネアムーンは訝しげに振り返る。
白王高校の制服を来た男子生徒が歩み寄って来るところだった。
「もしかしてー僕に用があるんじゃないのー?」
シェネアムーンの表情に緊張が走る。
「『尾形晴』?」
「ピンポーン」
尾形晴は両手をポケットに突っ込んだまま、へらっと笑った。
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