由貴の書いた小説の話、その小説の絵を描いた話、由貴や忍のことを話していると、突如、窓の外が明るくなった。
時刻は20時を回っているのに。
「何…?」
四季が立ち上がる。
ユニスが四季を見上げ告げた。
「先刻、あなたが光を示したものと同質の光です」
「見て、光の種類がわかるの?」
「人の関わる類いのもので、見たことがあるものなら」
ユニスは魔導の国リオピアの王子である。能力も高い。そのユニスが言うのなら──。
「都の向こうから、一直線に繋がっている気があります。私の知っている人のものではありません」
四季はユニスとイレーネと窓辺から外を窺った。
イレーネが光の道を見つめ「ひとりではないね」と呟いた。
「5人いる。けれど、だいぶ疲れている。気はあなたに繋がっている」
「5人…」
「思い浮かぶような心当たりは?」
「忍、由貴、涼ちゃん、吉野さん…?」
思いつくままに、名前を声にしてゆく。
光の道が一層きらめき立った。
「明るくなった。本当に僕に繋がっているんだ」
イレーネが深呼吸をする。その姿が天馬に変わった。
「行こう。乗って。彼らはあなたを必要としている」
馬になど乗ったことはない。まして天馬になど。
四季は戸惑ったがイレーネの目が「大丈夫」と言っているようだったので、その背に乗ってみた。
初めて乗るのに、天馬の背の上は居心地が良く、手綱などいらなかった。
「もっと乗りにくいものかと思ってた」
四季がそう口にすると、イレーネは言った。
「天馬には誰もが乗れるわけではない。相応しくない者は振り落とされるよ」
ユニスが自身の精霊を呼ぶ。
「ユリエ」
すぐさまユニスの精霊は姿を現した。
「何でしょう」
「外に出ます。ノールに伝えてください」
「はい。お気をつけて」
幼い面立ちに落ち着いた大人の表情の精霊ユリエは主人に一礼をした。
四季を乗せた天馬が、光の道を駆け始める。その上をユニスが飛び、彼らは都の向こうに続く『彼ら』を目指した。
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