女の子はいつも涼しい木陰を作ってくれる木が好きでした。
女の子は木陰に座って絵を描いたり、時に木を描いたりすることもありました。木も女の子が好きでした。
でもある日、木のところへ行ってみると、木の姿はありませんでした。木は切り倒されて何処かへ運ばれて行ってしまっていました。女の子は泣きました。木も泣いていました。もう二度と会えないだろうと思いました。
しばらくして、落ち込んでいる女の子のために、おばあさんが街へ連れて行ってくれました。
「何でも好きなものを買っていいのよ」
女の子が店の中を歩いていると、女の子を呼ぶ声がしました。女の子は振り返りましたが、誰もいません。
でも振り返ったそこには、女の子の目をひく綺麗な色鉛筆がありました。また、声がしました。
「こんなところで会えるなんて」
色鉛筆が女の子に話しかけて来ました。
「会えて嬉しいよ。まだ絵は描いているかい?元気がないみたいだったから声をかけたんだ」
女の子は驚きました。
「まあ。あなたなの。どうなってしまったのかと思ったわ。誰に聞いてもあなたがどうなったのか答えてくれる人もいないんだもの」
「そう。でも僕は君を覚えてる。君も僕を覚えていてくれたんだ。何だか不思議だ。木という形がなくなってしまっても、僕のことを君がわかるなんて」
「私たち、お互いに心に想い描いていたのよ。一緒に帰りましょう。あなたとなら素敵な絵が描けるわ」

