ジャスティは、黙ってカイを見た。こんなふうに言ってくれる存在がいることがジャスティには心強かった。
人はそれでも、傷つけたりする人間よりも、守ったり助けてくれたりする人間の方が強いとジャスティは信じている。
カイが今、自分のそばにいてくれるように。
僕はカイのことを助けよう。そう思った。
「カウフェリン・フェネスの綻びがどんなものなのかは理解しました。リオピアとフォーヌのことについては、ノール様たちが王都を奪還したり、ルナを通じてユニス様やリュール様、フィノ様、イレーネが協力しあっているようなので、そこに綻びの原因はもうないと思います。それは綻びではなく『これからを生きていく上でどうしたらよいか』という、そこに住まう人たちの考えるべきことだと思うから。ただ、まだ得体の知れない良からぬ想念が渦巻いていますよね?綻びの原因がそこにあるのですか?漠然と『カウフェリン・フェネスの命運を握る者』だと言われても、僕にはピンときません。リュール様の言うように、本当に何も知らない子供でしかないから」
そこで、それまで沈黙を守っていた四季が口を開いた。
「ジャスティは大人の持つことの出来ない、とてもいいものを持っている。何だと思う?」
「え?」
ジャスティは言われて困惑した。その場にいる全員がジャスティの方を見ていた。
「…ごめんなさい。わかりません」
素直に答えると、四季は優しく言った。
「うん。それがジャスティのいいところ」
ジャスティは不思議な答えを聞いたように瞬きした。四季は言った。
「つい、人のことを心配したり考えたりしてしまって、『ごめんなさい』って思ってしまうところ。要領のいい人は自分を良く見せたいがために、そんなふうにすぐに謝ったりはしないものなんだよ。その優しさを利用されてしまうから。でも利用する人間だけではないことを、ジャスティは知ってる。だから、心がいつも澄んでいられる。そうだよね?」
ジャスティはカイを見て「うん」と答えた。
「心が傷ついてしまうことにとらわれて、悲しくなるより、幸せなことを嬉しいとかありがとうって思う方がいいと思う。幸せなことがなければ幸せを作っていけばいいんだから」

