「すみません。聞いていいですか?ぶしつけな質問だったら聞き流してください。俺、その時の大戦は各国がリオピアを捨て石にしたんだって聞いてます。ここに集まっているのは、アレクメス王家のフィノ様、リオピア王家のユニス様とリュール様、ハロン王家のイレーネ様とジャスティ、ですよね。国同士での争いがあったのに、王家同士はそうでもないんですか?俺、水面下での腹の探り合いとか見たくないから、聞くんですけど」
カイがきっぱりとした口調で言った。しばししてルナが答えた。
「もうひとりいます。私は王家の人間ではないけれど。私はリオピア国に攻め入った、フォーヌ国の人間です」
カイは驚いてルナを見つめた。ルナは少し悲しそうに微笑んだ。
「大戦後、最も立場が悪くなったのはフォーヌです。新薬を使い、リオピアを欺いてしまったわけですから。そうしてフォーヌの人間がリオピアの民をうまく治められるかというと、そうではありませんでした。リオピアの魔導の力は自然から派生した命の力です。幻獣の力と聖なる力を混ぜようとしても出来ないものであるように、フォーヌの攻撃的な魔導の力では、リオピアの瑞々しいそれを同列に見て制御することなど不可能だったのです。元々の魔導力の高いリオピアの民は、やがてフォーヌの圧政をはねのけるようになりました。そこで、身を隠していたノール様たちの部隊が各地を密かにめぐって作戦を立て、時を見て、王都を奪還したのです。フォーヌに協力の手を差しのべたキトネシスは、フォーヌともリオピアとも陸続きではありませんし、元々キトネシスの民は他所者とは交流を深めない性質であると聞きます。フォーヌが劣勢になったと聞くと、手のひらを返すように協力から手を引きました。アレクメス王家とリオピア王家同士は、かなり親しくしていたと聞きました。アレクメスの王と王妃はリオピアを攻撃してはならないと最後まで反対なさったと。その件でアレクメスの王はアレクメスの魔法学界の者に暗殺されたという話も聞きます。その話の真偽のほどは定かではありませんが。ハロン王家のイレーネ様やリオピア王家のユニス様が実際にアレクメスへと逃れて来ている経緯を見ると、王家は政の犠牲になりやすい面もあるゆえに、王家同士の繋がりが深い一面もあるのでは?私はそう思っていますが」

