「政に関わりを持たないとはいえ王家は国の象徴のようなものだからな。確かに政でそういった力を利用していて、聖なる力を持つ者が王家になんかいたりでもしたらまずい。水と火は相殺し合う」
リュールが口を挟み、イレーネも横からそれに同意した。
「私も兄上と同じように生まれながらにその力が強いらしい。今のハロンに私が近づくのは、私が病むか、ハロンを崩壊させることになるかのどちらかだから、近づけないんだよ」
ユニスがジャスティを見る。
「おそらく、イレーネが今のハロン国に近づけないように、王子も近づけないでしょう。現在のハロンは当時のハロンよりも幻獣の力が強く支配していますから。…話を続けますが、王子はその時に王妃の手から消え、消息不明になったと言われています。『青龍の目』が王子を護ろうと連れ去ったからなのですが。悲嘆した王妃は、その後少しでもその者たちから離れて暮らそうと、離宮に移り住みます。そこでイレーネが生まれるわけですが、イレーネも力ある者として生まれて来てしまったために、離宮の近くに住んでいたレミニアという娘にイレーネを護ってくれないかと預けることになるのです。レミニアはゲートの使い手で、幻獣の力が強くなる時を読み、拐われぬよう、危険を回避する能力に長けていました。王妃がレミニアを選んだのはそういうわけなのです。しかしリオピアの王都が陥落し、幻獣の勢いが強まるとの懸念を持った王妃は、レミニアにイレーネを連れてアレクメスへと逃れるよう、言い渡します。レミニアにはエレシアという恋人がいましたから、ふたりの子として育ててはくれないだろうかと。レミニアとエレシアは承知して、アレクメスへと渡りました。同じ頃、私もアレクメスへ逃れて来ており、ケファウルという町で、私はイレーネに出会うことになったのです」

