「…ゆう って、誰ですか?」
聞き覚えのある声に胸の奥が疼く。
「…さぁ? 誰だと思う?」
グイッと彼女の顔を覗き込むように
顔を近付ける。
「……し、知らないから
聞いてるん、です…!」
「…ふーん。
興味あるんだ?」
「…べ、別にっ!」
急いで俯こうとする彼女の顔を
これまた急いで、引き上げるように
顎を掴む。
「…なっ?」
「……フッ
まぁ、いい。
俺から一つ、提案があんだけど、聞きてーか?」
ジッと俺の目を見詰めたまま
うんともすんとも言わない彼女に
やっぱり折れるのは、俺。
「雄ってのが、俺にとって何なのか。
それを言ったら、
お前も、今日バイクで送ってくれたイケメン野郎とやらについて…
……吐く。
それで、どーだ?」
うん、静かに首を縦に振る彼女。
…ったく、今回ばかりは雄に感謝してやんよ。

