子供のころから、一人になりたいと思うことがあった。

別に、いつも一緒に帰る友だちのことが嫌いになったわけじゃない。

ただ、一人で空や町の景色を眺めながら、考え事をしたいだけ。

その日は、そんな気分なだけ。

でも、友だちは分かってくれなかった。

決めたわけじゃないけれど、毎日一緒に帰るルール。

一人で帰りたいときは、急いで先に教室を出た。

次の日、友だちはものすごく怒っていたけれど。


大人になった今でも、一人でいたい時がある。

いろいろ考えごとをしていたり、怒ったり、悲しんだり。

そういう時は、特にそう。

人に会いたくない。

考え事をしている気持ち、怒り、悲しみを抱えたままだから。

一人で考えたり、美味しいものを食べたり、お笑いを見たり。

気持ちに決着をつけたり、あるいはいっそ、忘れたり。

そうして、すがすがしい気分で人に会いたいから。

だから、一人になりたい。

今でも時々、そう思うのです。