「もしもしっ!?栗原くん?
うそ、やばぃ。どーしよ。え?何?
どうしたのー?」

他に誰かいるのか少し小声で
何か喋っているように聞こえたのは
気のせいなのか。

「いや...あのさ...石岡って
彼氏いたっけ?」

いつも石岡は自分のことを葵って
呼んでいるけど...名字は
石岡だったはず。

「葵でいいよー。え?今彼氏いないよー。
葵と付き合うー?」

「はは、いや...じゃあさ...彼氏から
プレゼントもらうときってどんな
タイミングがいい?」

「えぇ...?あー...栗原くん彼女の話?」

急に声色が変わった石岡。

「え?まあ...な。」

「ふうーん。別にそんなのどーでも
いいんじゃない?あっ、でぇもぉ~
いいこと思いついたからこれから
会わない~?」

「えっ?あっああ。いいけど?」

「じゃあ、〇〇って店知ってるぅ~?」

「あー、うん。」

「じゃあそこで待ってるねぇ~。」

〇〇ってたしか...

─────

居酒屋じゃねえかっ!

「栗原くぅ~ん。」

もう酔いつぶれている石岡が俺に手をふる。

「おぃ...これじゃ何も話もできねえじゃ
ねえかよ。」

「だぁってぇ~栗原くん遅いからぁ~。」

石岡は俺の肩に頭を寄せてきた。

「ぐぇっ。」

香水のニオイがプンプンで俺は思わず
鼻を押さえる。
酒のニオイもまざっていて
何がなんだか分かんねえニオイ。