花蓮【完結】

「あったかいっしょ」


「あー、すみません」


「麻美ちゃん、それ口癖?」


「え?」


「あーって最初につけるの」


「あー…そうかも」


「また言ってるし」




けらけら笑う哲の声が耳元で聞こえる。


あたしはさりげなく哲から離れると


「大丈夫、走ればあったかくなる」


「はあ?!」



哲の顔を見ずに砂浜を走った。



無理だ、無理ー!
このまま甘い感じになるのは無理だ!



恋なんてしたくない。

あたしの全身が拒否していた。





「ま、待てって!」



慌てたようにあたしを追い掛ける哲。


あたしだってだてに鍛えてるわけじゃない、男に簡単に捕まってたまるか。




あたしは真剣に走って逃げた。

だけど、砂に足がもつれて思い切りこけてしまう。




「いっつー」


「大丈夫!?」


「あー平気平気」




ぺっぺと口に入った砂を吐き出すあたし。


哲は呆れた顔であたしを見ると、小さく笑った。

あたしもつられて笑った。