花蓮【完結】

「……最低な奴」


「……麻美ちゃん、そっから彼氏いない感じ?」


「あーはい」


「まじか…」


「好きとか恋とかわからないから、いいんだよね、別に」


「……」




急に黙ってしまった哲。
真剣な顔をして前を見てる。

なんか、苦しそう…??





「あ、のーなんか悪いこと言っちゃった…?」


「え?あ、ええと、そうじゃないんだ」




すぐに訂正するが、少し考え直した後、哲は真面目な口調で言う。




「この後、まだ時間ある?」


「あ、はい」


「じゃあ、ちょっと付き合って」




どこに行くんだろう。

あたしん家に帰るルートからは完璧外れた。




……この方向って……海……???






車内は沈黙のままだった。


その空気を読まない明るいJ-POPが流れるだけ。



静かにそれに耳を傾ける。