「よっ、待たせたな」
「いえ、すみません、いきなり」
「え?全然いいよ、ヤローといるよりもずっといいし」
「あ、はは」
「…どうしたの?」
「………歩きません?」
「ああ」
幼い顔の菜々美からは想像できないほどの大人びた声色に少し驚いた。
次期総長は菜々美だと、佐緒里に聞いた。
麻美も、菜々美だろうと言っていた。
菜々美ならやれると思う。
菜々美は後輩の中で誰よりも麻美の背中を見てきたはずだ。
誰もいない駐車場まで来ると菜々美は足を止めた。
「ここら辺でいいかな」
「?」
俺が首を傾げると、菜々美が俺を真っ直ぐに見た。
目を逸らしたくなるほどの、視線に俺は体が硬直して動かなかった。



