花蓮【完結】

それを自覚した途端。
俺はもう、掴むことも触れることも出来ないその人への想いが溢れてきて。


奥歯を噛みしめて、声を押し殺して泣いた。


最期の麻美の顔は穏やかだった。


口角が少し上がってて。
今にも笑いだしそうだ。


なんつう顔してるんだよ。


死ぬには早ええだろ?

なのに。
どうしてやりきったような顔してるんだよ?


花蓮引退して、やっと麻美の平凡な普通の生活がスタートしようとしてたんだろ?


喧嘩に明け暮れることもなくて。
誰かのために血を流すこともなくて。
ただ、哲ちゃんと笑うだけの生活。



なあ、そうなるはずじゃなかったのかよ?



未練、ありまくりじゃねえのかよ?