花蓮【完結】

「そっか、じゃねえよ!麻美が心配じゃねえのかよ!」


反射的に哲ちゃんを庇おうと、体が動くとそれを哲ちゃんが手で止めた。

俺は“何か”知ってる哲ちゃんが、こんなに冷静なのは不思議には思えなかった。
寧ろ、俺には覚悟すらしてたようにも見える。


だから、この後哲ちゃんが言った言葉に。
衝撃を受けながらも。

ああ、そうなんだと、妙に納得してる俺がいたのも事実で。


だけど。
…だけど。
それと、麻美が死ぬことは別だ。


もし、死ぬ病気でも助かって欲しい。
どうにか。
どうにかして麻美を助けて欲しい。


何で、何も言わなかったんだよ。
麻美。


最後までかっこよくいるなんて、バカだろ…?


わかってた。
麻美が、哲ちゃんの前なら女になれるんだってこと。


わかってたくせに。


それをまじまじと突きつけられた気がした。