花蓮【完結】

「名前!」

「え?」


哲は俺の前まで来ると、座りこんで俺に笑いかける。
その笑顔がなつっこくて。猫みたいで。
モテルのわかるなってそんなことを考えた。


「名前ー君の!」

「あ、拓斗」

「拓斗ー!たっくん、拓、たくたく…拓!」

「……」

「俺、哲!てっちゃんでいーから!」

「ぶは!誰もてっちゃんなんて言ってねえじゃん!」

「うっさい信司!拓がてっちゃん第一号!」

「て、てっちゃん」

「た、拓うう!!」

どぎまぎしながら、哲のあだなを反芻すると、目を更にキラキラさせた哲ちゃんが俺に抱きついてきた。
男に抱きつかれたこと、ないんですけど…。


この日から、哲ちゃんは俺に懐くようになった。
それは高校に入ってからも続いた。