花蓮【完結】

「哲さん、めっちゃカッコいいじゃん、付き合っちゃえば?」


「あーない」


「何で!」


「さっき断った」


「早!てか、展開早!」


「だから、あたしは今男とかいらないんだって」


一旦、手を止めるとニヤニヤしながら佐緒里があたしを見る。



「へー。麻美って処女でしょ」


「は!?」


「あー真っ赤になって。可愛いんだから」


「ばっ!バカからかうな!」


「ふふふ、本気になるかもしれないじゃん」


「んーあたしが好きでないのに付き合えないわ」


「真面目だねー麻美は。あたしなら付き合うな」


「あんたは信司いるだろうが」


「へいへーい」




佐緒里はけらけらと笑ってマスカラをポーチにしまうと、トイレを後にした。