花蓮【完結】

「麻美、あたしとデュエットしよ、ね」


ノリノリの佐緒里が、急にあたしを誘う。
だけど、枝豆が来たばかりのあたしはそれを渋る。



「えー嫌なんですが。枝豆来たし」


「するのー」




冷たい枝豆が、あたしを待ってるのに…。



そう思ったのも束の間、無理矢理マイクを渡されて引っ張り出される。

古い歌をまた歌うな。

愛が生まれた日って。


あたしはもちろん男役。




「愛が~生まれた日~」


「あはは!二人ナイス!」


「麻美、うめーじゃん」




真っ赤になるあたしに拓斗と哲が野次を飛ばす。

こうなったら歌いきってやる。


あたしは気合いを入れて歌った。

歌い終わった後、佐緒里は私の腕を取ると

「ねえ、麻美ちょっとトイレ行こう」

笑顔で言った。



「あーうん」


あたしと佐緒里は二人に断ってトイレへ向かう。
メイクを軽く直しながら、佐緒里はあたしに言った。