あたしを筆頭に。
皆がバイクに乗り込む。




佐緒里は花蓮の旗を持って、朱美の後ろにいる。





「最高の夜にするぞ!!!」




あたしのその声を合図に一斉に走り出す。







百台ものバイクが、闇に轟く。
テールランプが線を描く。
エンジン音が音を奏でる。





花蓮の。
あたしの花蓮の。





最期の夜。







哲。
見てて。






……風を切る音。
これが。


最高に好きだった。




皆と走る、この風が最高に好きだった。




後ろからあたしに続く花蓮の仲間。






ああ。
あたし。
死んでもいいわ。




もう。
思い残すことない。








そうして、飲み込まれそうな深い闇の中にあたしは切り込んでいく。

花蓮と共に。