花蓮【完結】

カラオケに到着すると、二人が受付をしてくれて部屋へと案内してくれる。


部屋に入ると、あたしは佐緒里の隣に自然に座ったけど…それを哲さんが制止した。





「麻美ちゃん、俺の隣来て」


「は?」


「いーからっ」


「あーはい」




あたしは渋々、哲さんと拓斗の間に座った。

佐緒里は拓斗の隣に座っている。



あたしが哲さんの隣に座ると、哲さんはあたしの顔を覗き込んだ。





軽くふわりと笑うと、背中を壁に付けてもたれかかった。

フードメニューを開いて、ぶつぶつ呟いている。





「拓、適当に歌ってー」


「あーい」


哲さんに言われた拓斗は曲を選びながら、手をひらひらさせている。



「拓、歌うまいんだよねえ。俺、いつも聞く専門」


「拓斗、歌うまいんだ」


「麻美ちゃんは?」


「あたし、駄目です。佐緒里はうまいけど」


「じゃー俺と来ても歌わないねえ」


「あはは、そうなりますね」



佐緒里と拓斗は次々に曲を入れている。


最初は拓斗らしい。

しょっぱなからEXILEって。


いや、まじであんた顔に合ってないから。

心の中で毒づくが、拓斗の歌声はとってもよかった。





うますぎだろ、まじで。