花蓮【完結】

「カラオケでいー?」



拓斗が運転しながらあたしと佐緒里に尋ねる。



あたしと佐緒里はいいよーと返事をした。




佐緒里はかっこいい哲さんに興味津々みたいだ。




正直、あたしは興味が無い。

カラオケに着くまで佐緒里に任せるか。





佐緒里はきらきら顔を輝かせながら哲と会話をしている。

誰とでもそんな風に話せる佐緒里がただ単純に凄いと思った。





「哲ちゃん、麻美ファンいるらしいんだよね」


「ええ?ファン?!」


「そーそー女の子の、ね」


「あ、女の子」


「ふはっ、哲ちゃん勘違いー」


「うっせーぞ、拓」


哲さんは少し顔を赤らめている。


あたしはその横顔を黙って見つめていた。






佐緒里はにやにやしながらあたしを見る。


それがうざったくて、軽く足を蹴ってやった。




「麻美、いた!うわ、まじうざ!」


「お前の顔のがうざい」




けらけら笑いながらも佐緒里は哲さんに話しかける。