花蓮【完結】

助手席には拓斗が言っていた男が乗っていた。

佐緒里があたしの腕をつんつんしながら


「結構かっこいいじゃん」


なんてふざけたことを言っていた。


助手席に乗った男は長髪の髪の毛をさらさらさせながら、あたしと佐緒里にぺこりとお辞儀する。

あたしと佐緒里は車の後ろに乗り込んだ。


「拓斗、早かったねー」


「まあな、あ、こいつ、哲(てつ)ね」


「どーも」


哲さんはあたしと佐緒里の方を向いてにっこりする。

すっとした二重で猫目の彼。

拓斗みたくジャージでなくて、ちゃんとチェックシャツにジーンズ履いてオシャレもしている。



口に弧を描く彼に素直に好感が持てた。


「あたしは麻美」


「私は佐緒里ーー!哲さん、いくつですかー?」


「俺?俺は19」


「ええー?年上?」


「いくつなの?」


「麻美と私は18ですよ」


「へえ、一つ下か、可愛いねえ」



一切喋らないあたしをちらりと見た哲さん。

あたしは話さない代わりに彼に愛想笑いを送ってやった。
それに彼も返す。