花蓮【完結】

「なんかーねー、まあ」


あたしは曖昧にそう言った。


「照れてやんの。まあ、いいから付き合えって」


「たっくんもこう言ってるし、行こうよ」


拓斗がそう言うのはわかるが、佐緒里は違うだろ。


「それ、佐緒里が見たいだけでしょ」


「ふふ、ばれたー???」

佐緒里はイタズラがバレた子供のように肩をすくめ、舌を出して首を傾ける。
あたしはそれを横目で見ながら、でかい溜め息をついた。


「あーはいはい、わかりました」


「よっしゃ、まじそいつ喜ぶわ。
めっちゃカッコいいから」


「別に顔とか興味ないけど」


喜ぶ拓斗に突っ込みを入れる。
それに被せるように佐緒里が更に突っ込んだ。


「どーせ信司よりかはーでしょー」


「はいはい」


あたしと拓斗で佐緒里の信司バカを軽くあしらう。
惚気とも言うけど。


佐緒里はどれだけ信司のこと好きなんだか。



あたしにはそんな相手いたことないし、これからも出てこないと思ってたからなあ。