その音色が止んで一瞬の静けさがこの教室を支配する。すると自分の頬に一筋の涙が伝った。 そのせいか頬は濡れていて。私は慌ててその涙を拭った。 何故だろう、何処か揺さぶられるこの音楽を私は覚えているような。 けどもそれを思い出す手段も浮かばない。思いだそうとするたびに胸に靄がかかって思い出せないのだ。 けど間違いなく、彼の音色を自分は聞いたことがあるのだ。