村の出入り口は黒く錆びた鉄のゲートで閉じられていた。
魔法がかけられているようで、ガチャガチャと力任せに揺らしてもビクともしない。
私がどうやって出るのか聞くと、アンリはリュックから銀色の鍵のようなものを出して、ゲートを開けた。
『凄い!用意周到だね』
「村のゲートは12時にならないと開かないからね。鍵は先生に貰ったんだよ」
アンリがまた鍵をリュックにしまいながら答えた。
開いたゲートに手をかけて思う。
ここを出たら私たちの旅がスタートする。
初めてだからちょっと緊張するけど、一歩一歩を踏みしめる。
霜が下りて凍った草を踏む音が聞こえる。
この森を抜けたら月光で有名な隣町に着くはずだ。
最初の町は、ムーンライト町。



