『・・・私、呼んでないよ?』


私のまわりに雨が降ってなかったのはスイレンのお陰だけど、私は魔法を使ってない。


なら、どうやって出てきたんだろう。


<ふふふ、雨の日は特別だと言ったばかりですわ>


・・・よくわかんないけど、雨の日は基本的何でもできちゃうみたい。


じゃあ、このタイミングで出てきたってことは・・・、


『私たちが決めたこと、知ってるの?』


スイレンは回るのをやめて、すぐ近くまで降りてきて、そして呆れたようにため息を付いて、えぇ、と呟いた。


<本当に、呆れてものも言えませんわ。ユイとアンリが旅だなんて>


『でも、だって、アンリが・・・』


<でももだってもありませんわ。お二人ともまだ子供なんですのよ?理解していますの?>


スイレンはまるで保護者か何かのようにぐちぐちと私を責める。


なんだか私が間違っているって言われているようで気に入らない。






<はあ、でもまあ、それがユイの答えでしたら、わたくしは何も言いませんけどね>


『え?』


スイレンはふっと顔を緩めて笑った。


身構えていたから、案外あっさりと認めてくれて驚いた。