出発は明日。
私たちは明日の早朝にいつものところで会う約束をした。
未だに止む気配のない雨の中を歩く。
びちゃびちゃと濡れた地面が音を立てて、跳ね返った泥水がレインコートに付く。
私は濡れないようにフードを深くかぶって顔を覆った。
帰り道、私は雨に打たれながら考えていた。
・・・私の選択は間違ってないよね。
アンリと離れたくないもの。
お母さんは怒るかもしれないけど、魔法の上達の為って言えば解ってくれるはず・・・。
頭の中で言い訳を考えていると、私のまわりに雨がかかっていないのに気づいた。
?・・・雨が止んだのかな。
でも雨が落ちる音と葉っぱに雨が当たる音は聞こえる。
頭に?を浮かべながら、そろりと前髪とフードの間から上を見た。
<やっとお気づきになりまして?>
私の頭上に、宙に浮いたスイレンがいた。



