どうしたらアンリを止められるか考えていた時、ふとある選択肢が頭に浮かんだ。



『・・・わかった』


「!・・・ほんとに?」


アンリはいきなり私がそう言ったことに吃驚したみたいだったけど、すぐに喜んでくれた。



『アンリにも譲れないものってあると思う。
でも私にもあるの。





だから、連れってって』





「・・・え?」


『連れてって』


もう一度言うと、アンリは口を半開きにしたまま固まった。


「え、でも、なんで、」


まとまらない疑問がアンリの口から出る。


口をぱくぱくと開けたり閉じたりして、まるで魚のようだ。



『・・・アンリが絵の上達が理由なら、私は魔法の実践ってことで一緒に行く』


「・・・」


アンリが降参のポーズでもするように両手を上げるまで、私たちはしばらく見つめ合っていた。


「ふぅ・・・、やっぱりユイって頑固だね」


『しっつれい!負けん気が強いだけだよ!』


「うーそ」


なんでわかったの!?なんて騒ぎだせば、気まずかった私たちはまたいつもみたいに戻る。


そう、これが好きだから、なくしたくないから、私は幸せから離れない。




私たちが騒いでいる間、子猫は騒音を気にせずに眠っていた。